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【海外ミステリ】 ダシール・ハメット『ガラスの鍵』


◇本書から (池田真紀子訳 光文社 2010)
『顔が汚れているせいで、トミーの歯は本来より白く見えた。トミーはその歯が全部見えそうな大きな笑みを浮かべた。「今夜は荒れ模様だな」
「だな。ところで、車を借りたいんだが。この雨のなかでも田舎道を走れるようなやつがいい」
「ひゅう! あんた、ついてるぜ。今夜はよりどりみどりだからな。ほかの日なら、田舎道には不向きな車で行くしかなかったかもしれねいぞ。ちょうど、どうなったってかまわないビュイックがある」
「ちゃんと走るのか」
「ほかのに乗ってったところで、たしてかわらねえだろうよ」トミーが言う。「今夜のこの天気じゃな」
「わかった。ガソリンを満タンにしてくれ。この雨のなか、レイジークリーク方面に行くには、どの道を通るのがいいだろう」
トミーが言った。「行き先によっては道は変わってくるぜ」
「そうなのか? ああ、当たりだよ、行き先はマシューズのところだ」ボーモントは言った。「このことは誰にも言わずにいてくれないか、トミー」
「俺の口は軽いと思っているのに俺のところに来たのかよ。それとも俺は口が堅いと知ってるから来たのかよ」トミーが理屈をこねた。--中略--
 ボーモントがビュイックに乗り込むと、トミーは不自然にさりげない口調で言った。
「サイドポケットに予備の銃を入れておいた」
ボーモントはひょろ長い男を見返して無表情に訊き返した。「予備の?」
「気をつけて行きなよ」トミーが言った。ボーモントはドアを閉めて工場を出た。』

--COMMENT--
 昔に読んだことはあるハードボイルドの名著を<光文社古典新訳文庫>が刊行されたのを機に再読。ボルチモア(らしい)市政の黒幕実業家の食客となっているボーモントが、選挙に出馬する上院議員の息子の殺害事件を追う。80年も前に書かれたノワール作品と思えないほど、生き生きとした登場人物と会話・情景描写、切なくはかない友情が胸に迫る…流麗な訳文も秀逸。
 引用は唯一車名の出てくるシーン。非情とか孤独さがよくにじみ出ている。(2011.11.12)
◇既訳出 Ref.国立国会図書館
1. ガラスの鍵 / ダシェル・ハメット[他]. -- 早川書房, 1954. 砧一郎訳 (世界探偵小説全集)
2. ガラスの鍵 / ダシール・ハメット[他]. -- 東京創元社, 1957. 小鷹信光訳(世界推理小説全集 ; 第35巻)
3. ガラスの鍵 / ダシール・ハメット[他]. -- 東京創元社, 1960. 大久保康雄訳 (創元推理文庫)
4. ガラスの鍵 / ダシール・ハメット[他]. -- 早川書房, 1993. 小鷹信光訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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