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ネルソン・デミル『ワイルドファイア』


◇本書から (白石朗訳 講談社 2008)
『「よかった。<ザ・ポイント>までは、車で長い道のりだからね――酒を飲んでるとなれば尚更だが…おや、まだ飲み足りない顔をしているようじゃないか?」マドックスは微笑んで、さらに話題を広げてきた。「ついでに言えば、きみは乗りなれない車を走らせてきたようだね」
わたしは無言で応じた。マドックスは続けた。
「たしか――そう、きのう君はトーラスを走らせてきたね。それが今日の午後はヒュンダイだった。そして今夜はルーディのヴァンだ。気に入った車は見つかったかね?」
 わたしは小賢しい口をたたく利口者が大嫌いだ――ただし、自分はそのかぎりではない。とりあえずマドックスにはこう返した。「いままさに、あなたのジープを借りられないかという話を切り出そうかと思っていました」
マドックスはこれには応えず、こう質問してきた。「なんでああも頻繁に車を替えているんだ?」
ここは真実を話してマドックスを混乱させてやろう、そう思ってわたしは答えた。
「当局から逃げ回っているからです」マドックスはにやりと笑った」』


◇ジョン・コーリー・シリーズ4作目は、9.11以降の極右翼秘密クラブの末恐ろしい計画に妻のケイトと迫る。上下巻あわせて1,100ページにもなる大作ではあるが、ストーリーの謀略そのものが滑稽すぎて、まさに007を思わせるような活劇調は大味かなぁ。テクニカルな面での目玉になっていたELF(Extremely Low Frequency、3Hzから30Hzの極超長波)はなかなか面白い着想でした。
 抜き書きは、ニューヨーク州北部のSaranac Lakeにあるクラブ本拠地に乗り込んだときの会話。ちなみにトーラスは青のレンタカー、ヒュンダイもレンタカーの"アクセント"、ヴァンはスタンドのおやじの"くたびれたダッジ"。他には、殺害された監視スタッフ・ハリーのキャンピングカー(政府支給のポンティアック・グランダム、自前のトヨタ車も)などが出てくる。
※先月ブログのほうにleiaさんから「ご主人がネルソン・デミルを読んでいて"…BMWxxxの後部座席にカバンを…"なんて変な文がありました」とお知らせいただいて、たぶん最新作の本書かと思い読んでみたもの。残念ながらBMWは登場しなかったので『王者のゲーム』か『ナイトフォール』かしら?(2009.1.6 #576)
デミル作品セレクション

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